週末の恋人


 起きたら十時を回っていた。
 慌てて体を起こそうとすると俺の腕を枕にしていた遼が身じろぐ。不思議に思って携帯を見ると今日は日曜だった。
 どうやら完璧に寝惚けていたらしい。再びベッドに横になり腕の中の恋人を抱き締める。
 普段なら決して他人に見せる事の無い幼い顔に唇を寄せ起こさないようにそっとキスをしていく。
 額からこめかみ目許から頬を辿って唇の端細い顎。
 心を込めてキスしているのにちっとも気付かない遼になぜか俺は腹が立って唇をどんどん下の方へ移動させていった。
 おまけにもう優しくしてやらずに白い肌に赤い花びらを散らすようにきつく辿っていく。
 唇が鎖骨の下辺りまでいくと遼はびくりと体を震わせたが起きはしない。微かに吐息を零しても目は閉ざしたままだった。
 それならと俺は妙にやる気になって遼に覆い被さるようにして骨の浮きそうな脇腹や折れそうな腰、それに下腹部の方へどんどん花びらを散らしていく。
 内股に触れるかどうかの処でいきなり胸郭に膝蹴りをかまされた。
 胡乱気な焦点の合わない目が俺を見ていた。
 がばりと上に被さると何事も無かったように目を閉じた。すぐに寝息が聞こえる。
 悪戯は中断。二度寝が決定。遼を抱いて俺は目を閉じた。