逆転裁判
 「一度言ってみたかったんですよねぇ。嬉しいなぁ」
 ニコニコと、語尾にハートマークでも飛ばしかねないほどの機嫌の良さで笑みを浮かべつつ沖田は土方を見上げた。
 「遅刻、です。生徒手帳を出して下さい」
 「正当な理由があるんだよ。うら、入れやがれ」
 笑みと共に差し出された手を邪険に払い、強引に校門を突破しようとした土方を止める者が更に一人。
 「土方さん、諦めたら? てか総司、そこにもう一人遅刻者がいるみたいだけど?」
 「え? あ、市村君vv いつからそこに?」
 ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべつつ土方を目で制しながら、藤堂は後ろの小柄な影を指差す。
 「お早うございます沖田先輩、藤堂先輩。僕は」
 「俺と一緒だったぞ。あ、お前総司に正当な理由を教えてやれ」
 音も無く藤堂から繰り出された突きを難なく受け止めている間に沖田に抱き付かれていた市村を救出し、微妙なアクセント共に市村に言う。
 土方の発言に顔色を変える沖田と目を細めた藤堂に全く気付きもしないで、市村ははいと返事をし二人に向かって言った。
 「電車が事故を起こしたみたいで。あ、遅延証明書をもらってきました」
 名刺サイズより二回りほど大きい紙を差し出され、ついでに土方にも差し出された沖田は心の中で舌打ちをしつつも、その内容を読み取り、こう返すしかなかった。
 「分かりました。二人ともセーフです」
 「ほれみろ。市村、行くぞ」
 我が意を得たり、といった感じで土方は笑み、市村は軽く頭を下げて二人の間を通り抜けていった。


 その後もちらほらと遅延証明書を片手に駆け込んでくる生徒に向かってセーフを言い渡していた沖田だったが、ふと隣を見れば。
 「何で風紀委員でもないのに藤堂さんはここにいるんです?」
 「いや、ちょっと気になることがあってそれの確認とこれから面白い話をお前にしてやろうかと思って」
 相変わらず人を食ったような笑みを浮かべている藤堂を沖田は促した。
 面白い話、を期待して。
 「総司、市村が徒歩圏だって知ってた?」
 「へ?」
 ……彼は先ほど『電車が事故を起こしたらしい』と言ってはいなかったか?
 「土方さん電車通学なんだ。……本鈴が鳴るから先に行くな」
 さらりと言われた言葉の意味を理解し、凍りついた沖田は遠くで響き渡る澄んだ鐘の音を聞き我に返ったが時既に遅し。


 「ですからこれには正当な理由が!」
 「あー分かった分かった。後で職員室で聞いてやるからな」
 「先生〜」




後書きと言う名の言い訳
何か、書いてるときの頭の中身はこのソフトのCMで一杯だったような……

とりあえず藤堂さんが登場です。わけ分からないポジションの人です。実際は生徒会の役員さんです。……ブラックユーモア、アメリカンジョーク大好きっ子と言う設定になっております。

それにしてもですよ。遅延証明書って今までに一度しか貰った覚えがないのですが、あれ、貰い損ねると大変らしいですね。
貰っても間に合ってしまった人間ですから……脅威の脚力と呼んで下さい。

それではまた来週ぐらいにお会いしましょう〜

20021222
再アップ20080207