jump 白兵戦専攻と一口に言っても得意な獲物はそれぞれ違う。 まあそれは銃火器専攻の場合もそうだけれど。 武器が使用不可能な場合になることだって十分考えられるということで他専攻と比べ徹底的に基礎訓練が多い。 基礎訓練と武術、そして武器を使っての戦闘訓練の割合の内六割が基礎訓練。 三割が武術で残りの一割が武器を使う訓練だ。 で、本日は武術訓練が一日。というか本日から五日間。 丸一日ずっとその予定が組まれている。もちろん昼休憩や小休止はある。 だがしかし一日中武術訓練がぶっ通しで五日間。 天〇一武闘会と密かに生徒に呼ばれているこの地獄の五日間。 もちろん一日目で終わる生徒もいる。そうすると残りの日程は全て座学になる。 これが、地獄なのだ。 武術史や戦史などを一日中ひたすら学ぶ。時に映像を交えるが、板書板書また板書、稀に質疑応答。 体育会系の生徒たちにこれほど辛い授業はない。 「目指せ最終日、だな」 「田島は余裕で残りそうだけどな」 「お前は?」 「最終日狙わなきゃ意味ないだろ」 「まあ、な」 狙って狙えるものでもないのだが。 「そういや泉、フィールドは?」 「道場。花井は?」 「……湿地」 「最悪だな。ま、頑張れ?」 「運を天命に任せる」 生徒数が多いため、対戦フィールドをくじ引きにより決定。 四日目までは毎日異なるフィールドで、最終日はまさにあの武闘会場のようなリング上で戦うことになる。 それも各専攻の生徒が見学として見守る中での最終日。 残れなかった生徒は見学さえ出来ず黙して座学。 それもわざわざ会場の歓声が届く教室での勉強。苦痛以外のなにものでもない。 「「最終日まで顔合わせないと良いな」」 こつん、と互いの拳を合わせていざ出陣。 「あ、お帰り花井」 「おかえり なさ い!」 「ただいま。あー、マジ疲れた」 「うん、お疲れなのは分かるけど風呂場に直行してね。できれば服ごとシャワー浴びて汚れ流してから洗濯機に突っ込んで」 「分かった」 「あ あの」 「明日は土埃塗れの予定だから」 一言、結果を告げれば。 ゆっくりとその言葉の意味を噛み締めた三橋は顔を真っ赤に染めて栄口に向き直る。 「お父さん頑張ってーってやろうねって話してたんだよな」 「それ、力抜けるから止めてくれ」 「入賞のミニトロフィー飾れる場所空けてあるからね」 「がん、ば って」 「おう。努力はする」 明日も風呂場に直行で、明後日もまた汚れる予告が出来ると良い。 そう思いながら熱いシャワーを頭から浴びた花井だった。