100個で1組のお題 映画100 028:恋のエチュード ヴァイオリンといえば、華。 みたいなイメージが結構学院にはある。 いや多分見目が派手な人が多いからなんだろうけど。 「廉、今日はどうする?」 「修、ちゃん。あのね、今日、は」 「俺と合わせるんだよ」 「……お前には聞いてない」 ヴァイオリンの叶と三橋。 ピアノの阿部。 なぜか叶と三橋が阿部の取り合いをするという不思議な光景だけならまだしも。 「れーん」 「三橋」 「何でアンタが来てんですか」 「タカヤに会いに来てんじゃねえよ」 「可愛い後輩の練習に付き合ってやろうと思ってな」 二大ヴァイオリンの王子様榛名さんと高瀬さん。 これまた三橋の取り合い。 「いつ見ても面白い組み合わせだよねー」 「……あれ見て面白いと思えるのか?」 「泣き出す前に泉か田島がどうにかすると思うけど」 フルート専攻の水谷とビオラ専攻の栄口。 で、俺チェロ専攻の花井が同じクラスで。 さっきの三人は隣のクラス。 「あんたら何してんだよ。三橋、練習室の予約時間」 「そーそー。早く行こうぜ!」 泣き出す寸前の三橋を連れ出したのは栄口の予言どおり泉と田島。 サックス専攻とドラム専攻だ。 オーケストラに使われているような楽器、あと作曲と声楽コースと普通科。 それが一まとめにされている学院が、ここ。 「学内コンクールが近付いてるのに何でお前らと練習するんだよ」 「だって昨日約束したもんよ。なー、三橋」 「う、うん!」 「じゃあそういうことで」 連れ去られ、もとい楽しそうに練習室に向かっていく三橋を追いかけて。 ……冷気が。 「あれ、どうにかならないのか?」 「水谷をお供え物にしておけば?」 「えええー!?」 ヴァイオリンが華、ってか三橋が、華。 ああこれまた明日の学内新聞とかに使われていたら嫌だなあと。 思いつつ俺も練習室に向かうことにした。