100個で1組のお題 映画100 031:ペパーミント・キャンディ 缶の中、いつも残ってしまうそれのように。 「行って、下さい」 「何言ってんだよ」 「俺が、行ってもじゃま、だから」 淡い色彩はただそれだけで奇異の目の的になった。 沈みこむだの溶けこむだの夜の帳のだのという形容詞が付けられる俺たちの持つ色とは全く異なる、色。 淡い陽だまりの色。 「そんなこと気にするなって。俺も皆とは違う色だよ?」 「で、も」 「花井も水谷も違うよ?」 淡くはないが明るい色をまとった栄口の言葉にも、頷かない。 心配そうに覗き込む花井と水谷の視線に、さらに縮こまるばかり。 「泉、阿部がまた三橋泣かせてっぞ!」 「んだと?」 「三橋三橋、俺も行くから大丈夫だって」 黒二人と三橋と似通った色の浜田に慰められても、あとからあとから頬を涙が伝っていく。 「三橋だってこの村の一員なんだから、気にしなくて良いんだぞ?」 「そうだよ。俺たち仲間なんだから気にする必要も無いって」 巣山と沖に言われても、まだ涙が止まる気配は無い。 …………ちくしょう。 誰が最初にあの色を貶したんだか知らないが、許さない。 あんなに柔らかい色なのに。 そりゃ確かに夜の行動には向かない。 少しでも光があればそれを弾いて居場所を示してしまうから。 だからといって、日の光を集めたあの色をあいつ自らが選んだわけじゃない。 それなのに! 「黒いフードを被っちゃえば、分からないよ。ね?」 「おー、さっすが西広あったま良いな!」 「俺もお揃いにすっかな」 「三橋だから可愛いで済むけどお前のは目に毒だ」 ぎりぎりと拳を握っている間に、西広が解決策を見出したらしい。 確かにあれなら目立たない、けど! 「阿部、あーべー帰ってこーい」 攫われないように、気をつけないと。