100個で1組のお題 映画100 032:フェイク (どうしようどうしようどうしよう) 変装すれば、大丈夫だからって。 つれてきて、もらった、のに。 端っこ、に、いるのに。 たくさん、人が、いるのに。 『なあ、お前』 どうして、あの人は。 俺を、見つけちうんだろう。 俺だって、分かっちゃうんだろう。 「あれ、元気ないじゃない」 「……恋煩「止めてよ槍が降ったらどうしてくれんの」 「じゃあ聞くな!」 「榛名の口からよもやそんなおぞましい単語が出てくるとは思わなかったんだよ」 で、本当にどうしたのと聞いてくる秋丸は無視することにした。 ちくしょう。 声かけた瞬間に逃げられたら、いっくら俺だってショックだってーの。 そりゃ俺とあいつの立場ってのを考えたらおかしかねえけどよ。 ……あんなに驚くことも、逃げ出すことも、ねえじゃねえか。 「全く。どうして俺の相棒がお前なんだろうなあ」 「うっせえ馬鹿眼鏡。で、何だよ。世間話してる暇なんかねえだろうが」 「うん。届いたよ。お待ちか「それを早く言え! 見せろ!!」 「……榛名って、本当に榛名だよねえ」 秋丸の手からひったくるようにして奪い取ったのは一枚の紙切れ。 『明日23時、乙女の涙をいただきに参上します』 淡い水色のカード、犯行予告カードが俺にとってはラブレターだ。 「仕事やる気出てきた?」 「ったりめえだっつーの。うら、予告出された家に行くぞ!」 「はいはい」 待ってろよ、俺のハート泥棒!