100個で1組のお題 映画100 033:散り行く花 村の真ん中には、木がある。 たくさんの花が咲いている、木が。 とてもとてもきれいな花。 でもきれいなだけではなくて。 「……薬、効いてないのか」 「山向こうの名医の薬だったんだけど、ね」 「今日も一枚、花びらが落ちた」 「……そう」 八重咲きの白が、日を経るごとに。 小さくなっていく。 それは命が欠けていく証。 「諦めるしか、ねえのかよ」 奥歯をぎりと噛みしめた音に呼応するように。 またひらりと一枚、降る白を。 「何言ってるの。まだ試してないことがあるのに」 「……試して、ない?」 「最も永くこの地を治める彼の御方の知恵を借りてないよ」 掴んで、てのひらを開く。 地になど、還させやしない。 「俺は諦めないよ、阿部」 「……栄口」 「お前は、諦めるの?」 俺は。 たとえ、俺が選ばれなくても。 俺は。 「地の果てでも、どこまでだって、俺は三橋と一緒にいるためにはなんだってするしどこまでだって行くよ」 お前の覚悟は、決まった?