100個で1組のお題 映画100 043:裸のランチ RIOUといえば泣く子も黙るメンズファッションモデル、だと思いたい。 思いたいんだけどこの馬鹿は。 「じゅーんさーん、廉が足んないよー」 「なあ高瀬、あいつシメて良いか?」 「まあ待て榛名。そこのカメラマンのがよっぽど腹立ててるから」 今をときめく(この表現はどうなんだ、発案者)トップモデル3人組の表紙と。 その中身の撮影。何社分かまとめて、なので一泊二日の予定で。 本日のコンセプトはまだ肌寒い中、この夏オススメのビーチウェア、だそうだ。 季節を先取りするのは当たり前のことだと分かっていても、寒い。 毎年毎年というか年中そうなのだが、寒いもんは寒い。 「れーん、れーん、今日は来ないのかなー。ねー、浜田さーん」 「あのなあ、悪いけど弟はこーこーせーなんですけど?」 「えー、俺も学生だよ?」 「暇見つけてサボれる大学生と一緒にしないでくれる?」 つーか海まで一人で来させません! と断言した浜田は俺らとは旧知の仲。 でもってその弟の廉はお兄ちゃんっ子というか、二人だけの家族なんで遠出するときにはくっついてくる。 廉は利央だけじゃなくて俺ら皆のお気に入り。 「でも明日も撮影するんだろ? お前一回帰るのかよ」 太陽待ち、の状態になった俺らはウインドブレーカーに包まって浜田に詰め寄る。 メイクさんやらスタイリストさんやらでちょこっとばかし女性はいるけれども潤いが足りない。 「まーさか。迎えに行くんだよ」 「え、遠くない?」 「可愛い弟のためなら遠くないの! つか太陽! さっさと定位置!!」 「はいはい」 さんさんと日が射したところで寒いことに変わりはないけどもそこはプロ。 順調に撮影は進んで本日はこれにて撮影終了。 もう真っ赤な夕日が輝いてるのは、ご愛嬌だ。 「はーまださーん、廉の迎え車? 車でしょ?」 「そりゃ俺の機材と一緒に動いてるから車だけど?」 「俺も行くー!」 「ばっか利央、お前疲れた疲れた言ってたの誰だよ」 「充電されんの! ねー、いーっしょ?」 結局セダンの左後部座席と助手席は荷物で埋まってるからって理由で置いてきぼりを食らった。