願わくば、どうか。 永遠の週末 開錠の仕方は、見ていれば分かった。 「……悪く思うなよ」 枕元に用意された探索道具一式。 昨日の探索を早く切り上げたのは、今日一日中潜っているつもりだからだと。 ……最近、分かるようになってしまった。 膝を抱えて丸くなって眠っているその身体の。 隣に滑り込む。 秋も深まってきたというのに薄手のTシャツとハーフパンツで眠っている身体を抱きこむように。 「これ以上、深く潜るな」 祈るように、呟く。 規則的に上下する肩に、額を押し付けて。 「頼むから」 遺跡を。 暴いていくたびに。 救われていく者がいることを知っている。 深く潜るたびに。 この身体に傷を負うことが多くなっていることも。 誰より長く、付き添っていた自分が一番知っている。 救われた者が。 憑き物が落ちたような顔をして。 差し伸べられた手に応えるために。 与えられた力を惜しみなく使う。 深く潜れば潜るほど。 危険が増すはずなのに。 信頼という絆は。 危険から容易く逃れる力に変わる。 平日に潜ることを止めることなど、誰にもできやしない。 「もう、これ以上」 卑怯な手段を使っているという自覚は大いにある。 卑怯者と詰られようとも。 拗ねられようとも何をされようとも。 俺は、お前を。 「潜らせたく、ないんだ」 週末が永遠に続けばと願う。 そうすればいつまでも。 いつまでも。 end